ぶらり温泉ひとり泊

草津温泉 山本館

http://yamamotokan.com/


温泉番付ではいつも横綱(昔の番付だと大関)の草津温泉。星の数ほどではないが、数多くある宿のなかでも品格と風格では間違いなく5本の指に入る山本館に泊まる。場所は草津温泉の中心・湯畑のすぐ近く。創業は江戸時代末期で、現在の建物は大正2年に建築された数寄屋造りで、温泉街でもひと際威風堂々としている。館内は非常に手入れが行き届いていて、廊下はピカピカで子供なら間違いなくヒュ〜と滑るに違いない。

私が案内された部屋は2階のききょうの間。ここから湯畑はよく見えるが、観光客の声などは全く聞こえず、落ち着いて部屋で過ごすことができる。部屋の広さは八畳プラス縁側。これにウォッシュレットのトイレが付く。ひとり旅としては贅沢すぎる広さで快適極まりない。そして、嬉しい事にこたつがある。加えて冬だけのサービスかと思うが浴衣と一緒にタビがある。簡単なことだが、これまで泊った宿のなかにタビを出しているところはどこもなかった。また、布団を敷いたときに翌日用浴衣が用意されていた。憎いサービスだ。

お風呂は内風呂が地下に男女ひとつづ。露天風呂はない。草津温泉にはいくつもの無料の外湯があるので、旅館には静かに入れる内風呂があれば十分である。湯殿はひと昔の雰囲気を醸し出すかのような総檜造り。湯船の大きさは1間×1間半ほどの大きさか。壁にはタイル画で昔の内湯時代の絵が描かれていて、そこに誰が詠んだかしらないが、

「あしびきの 山の木には 鶴も来て 千代のふるきを あらふ若の湯」

という歌が書かれている。

温泉は白旗の湯から引いたもので源泉掛け流し。ここのお湯は乳白色というより白濁色といったにごり湯。ただし、硫黄の臭いはあまりきつくはない。1分も浸かっていると体の芯からジーンと暖まっていくのが実感できる。文句なしにこれまで入った旅館の湯のなかでは5本の指に入る。やはり草津の湯は横綱だけのことはある。

ただここのお風呂のおかしいというか不思議なのは、脱衣所と湯殿間の壁がガラス張りなのである。ユニークというかヘンというか……。

食事は1階にある食事処でとる。ひとり旅の人には個室を用意してくれることもあるとか。私は食事は部屋で食べるのがベストであると思っている。しかしながら、旅館にも都合がある。古い3階4階建ての木造建築の場合、当然ながらエレベーターなどという代物はない。よって、こうした建物の場合は食事を運ぶことが重労働になる。昔は数多くの仲居さんがいたからこうしたサービスもできただろうが、最近は従業員の数は限られてしまうので無理なようである。

また、暖かいものを食べさせたい場合は部屋食は無理だ。いくら固形燃料が発達したといえども、料理人が造ったものをすぐに食べる場合は部屋食は難しい。

ところで、食事の内容だが、これはオーソドックスな日本料理で、どれもかもが手に込んでいる。さすがに老舗旅館ならではだ。特にふきのとうの天ぷらはうまかった。また自家製の果実酒も極上だ。私は梅酒を飲んだのだが、これが美味×2。おそらく他のあんず、いちご、リンゴなどの果実酒もおいしいに違いない。いつしか必ず飲みたいものである。

(2005年2月6日逗留)



大滝の湯

湯畑から東へ徒歩10分。白旗の湯のような外湯と異なり、町が運営する入浴センターのような大きな温泉施設。料金は800円。館内には大浴場・サウナ・打たせ湯・露天風呂・合わせ湯などのお風呂に加えて、広い休憩室、食堂、マッサージ室などもあり、ここでゆっくり一日を過ごす温泉客も多い。おすすめは混浴(時間によっては女性専用になる)の合わせ湯。合わせ湯には温度の違うお風呂がいくつもあり、ぬるい湯から浸かっていくといい。露天風呂のお湯はかなり濁っているが、ここのお湯はさほどの濁りはない。やはり、外気に触れていないからだろうか。



西の河原露天風呂

湯畑から西の河原通りを西へ数多くのお土産屋さんや温泉まんじゅう屋さんを横目に見ながら歩くこと約7〜800メートル。西の河原公園内にある露天風呂。広さはおそらく100畳ほどで開放感に満ちあふれている。温泉は無色透明だが、湯船の岩が緑色に変色しているために、見た目にはエメラルドグリーンのようにも見える。ただ、この露天風呂はお客さんの数の割には脱衣所は狭いし、休憩する場所すらない。お客さんの回転率をよくするためだろうが、これで500円はかなり高い。