松本からバスに揺られること約2時間。白骨温泉は意外に遠い所にある。これは冬場の間、県道白骨温泉線(湯川渡〜白骨温泉)が通行止めになりバスが乗鞍温泉経由になるため、夏季より時間がかかるのである。ちなみに夏季だと松本から1時間40分で来ることができる。私が訪れた日はあいにくの雨模様。本来ならば雪が降っていてもおかしくない季節なのだが、暖冬のおかげで雨にたたられてしまった。
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宿は白骨温泉で一番有名な泡の湯前のバス停から徒歩5分。少し山合いに入った周囲を白樺林に囲まれているなかにある。天気がいいと宿の前からは乗鞍岳や霞沢岳を望むことができる。
案内された部屋は椿の間。古民家の廃材と思わしき太い柱があちらこちらに利用した造りで、また壁は漆喰でできているので日本家屋の良さを味わせてくれる。10畳分の本間に、約4畳分の縁側、加えて約4畳分の次の間という本格的な和室。トイレはウォッシュレットで、洗面所のアメニティもしっかり揃っている。ここはおそらく特別室だと思われる。こんないい部屋に泊まれるのは平日でお客さんが私だけだからかもしれない。
角部屋ということもあり、窓から周囲の白樺林を堪能することができる。また、部屋にはこたつがあり、こたつに入ると体が暖まるばかりでなく、ホッとさせてもくれる。他にも部屋には細やかな生け花な飾り付け(縁側のテーブル、床の間的なテーブル、入口の床の間)、香のかおり、ほとんど使われることがないであろう昔ながらの電気スタンドなどが癒しの演出を醸し出している。浴衣はこたつのなかに暖めておいてくれるなど行き届いた心づかいもなされている。部屋とつかみのサービスは非の打ち所がない。
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内風呂は男女ひとつづ。殿の湯と姫の湯。ともに2メートル×3メートルぐらいの湯船があり、そこに白いにごり湯が面々と満ちている。浴室からは白樺林を望むことができ、夜は林をライトアップしている。冬は窓を閉めているが夏は開放すれば半露天風呂の気分になれるに違いない。お湯は硫黄泉なのだが、さほど強くはなくじっくり浸かっていることができる。露天風呂はひとつだけで貸切制になっている。広さは人ふたりが入ればいっぱいというような大きいものではないが、夜に星空か月を見上げて入れれば最高に違いない。内風呂は夜12時まで、露天風呂は夜10時まで。
食事は食事処でいただく。さて、その食事の種類と量はもう列挙しようがない。オードブルみたな料理がまず5品、このほかにウド、野沢菜などいろいろ、そして馬刺し(これがめちゃくちゃにおいしかった)。以上がいわゆる前菜で、その後にそばがゆ、大根の煮付けなどなどが登場、そして最後にキノコ鍋(器がでかい)、ヤマメのミソ焼き(もう美味)、蕗のとうと○○の天ぷら、もう勘弁というぐらいだ。これで、ビール1本、日本酒2合を飲んでしまったのだから、おそらく体重は2キロは増えたに違いない。(笑)
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朝食はご飯か朝粥を選ぶことができるが、私は朝粥をいただいた。もちろん粥以外にもみそ汁、鮎の開き焼き、茶碗むし、山菜サラダなどなど。食べ切れるだろうかと最初は戸惑ってしまったが、結局は美味しいので全部たいらげてしまった。これで体重はまた1キロは増えたかもしれない。(笑)
宿泊客が私ひとりだけという宿泊はこれまでに何度か経験したが、ここほど落ち着いて静かでのんびりしていて、それでいてサービスもしっかりしている宿に泊まったことはない。穴場中の穴場という旅館ではないかもしれないし、値段も少し高いかもしれないが宿泊して絶対に損はない。これだけの贅沢はなかなか味わえるものではない。宿泊料金が平日も休前日も料金は変わらないというのも嬉しい。
(2007年3月5日逗留)